どの季節でも手に入りやすく、さまざまな料理に活用できるじゃがいもは、その保存性の良さから多くの家庭で重宝される食材です。
しかし、保存期間が長くなると生じる可能性がある「芽の発生」や「皮のしわ」は、食材としての品質を落としてしまいます。
特にじゃがいもの芽には毒性成分が含まれていることが知られていおり、無駄にしてしまった経験を持つ方も多いかもしれません。
じゃがいもは他の野菜に比べて保存が効くため、特に手間のかかる保管方法を要するわけではありませんが、適切な保存法によってさらに長く、新鮮な状態を保つことができます。
ここではじゃがいもを新鮮に保つための正しい保存テクニックやコツについてご紹介します。
じゃがいもの基本的な保存テクニック
まず最初に、購入した際のじゃがいもをどのように保管するかについてご説明いたします。
常温による保存法
じゃがいもは基本的に常温で保存することが推奨されますが、その際には若干の留意点が存在します。最初に、じゃがいもに残っている泥は取り除いてください。そのままにしておくと、湿気を帯びやすくなり、腐敗のリスクが増します。泥を取る際は水は使用せず、布巾やペーパータオルで拭き取ってください。水で洗い流すと乾燥に時間がかかり、結果としてカビの発生に繋がる可能性があります。
また、じゃがいもが直射日光や室内照明の光を受けることがないようにしてください。光を浴びることで発芽しやすくなり、色も変わりやすくなります。加えて、室内の温度も重要です。高温になると、これらの問題が顕著になるためです。
次に、じゃがいもの保管には適切な通気と湿度管理が必要です。他の多くの食品と同様に、通気性が悪い場所や湿度が高い場所では、カビや腐敗のリスクが高まります。シンク下などで保管するのは問題ありませんが、通気を促すために時々扉を開けることが肝心です。扉をほとんど開けないような場所では、湿気がこもりやすくなり、じゃがいもが傷みやすくなります。
さらに、じゃがいもを保存する際には不織布や麻製の袋を利用することがオススマです。これにより光を遮断し、虫を寄せ付けず、また通気性も確保することができます。適切に保存することで、じゃがいもは約2ヶ月から3ヶ月保つことができますが、これは購入時の状態にも依存するため、保存期間はあくまで参考程度にして、常にじゃがいもの状態をチェックし続けることが大切です。
じゃがいもの冷蔵保存について
じゃがいもは基本的には常温保存が適していますが、夏など暑い時期は冷蔵保存がより適していることがあります。しかし、冷やしたじゃがいもを高温で調理すると、アクリルアミドと呼ばれる有害物質が生じる可能性があります。アクリルアミドは劇物に分類されるほど危険な物質で、特に焼く、揚げるなどの調理方法で生成されやすいため、冷蔵したじゃがいもはそのような調理には向きません。茹でる、蒸すなどの方法ではアクリルアミドの発生が考えられないため、調理方法を気をつける必要があります。
保存する際には、まずじゃがいもの土を取り除きます。それからキッチンペーパーか新聞紙で包んで、その上でポリ袋に入れるのが良いでしょう。この方法により、湿気を避けつつ乾燥も防ぐことができます。但し、袋は密封せずに口を少し開けておくことで、湿気が溜まり過ぎるのを防ぎます。冷蔵による保存期間は常温保存に比べ短く、約1ヶ月程度と考えてください。室温が高い時期にはこの保存方法が推奨されます。また、保存する場所は、冷蔵庫内で温度の高い野菜室が適しています。
冷凍について
保存の手段としてじゃがいもを冷凍するのはあまり適してはいませんが、不可能ではないです。生の状態で保管すると、水分が失われた結果、食感が劣化しますので、加熱してからの冷凍が推奨されます。簡単に茹でたり、電子レンジを使用して加熱したりすることができます。冷やした後に余分な水分を取り除き、冷凍に適した容器やバッグに収めてください。コロッケのように形を整える必要がない用途であれば、事前にマッシュして保存する方法が便利です。しかし、保存期間は概ね1ヶ月程度となり、常温保存時よりも短いため、できるだけ早く使用することをお忘れなく。
刻んだじゃがいもの保存テクニック
通常、じゃがいもは小ぶりであり、料理で全てを使用することが多いです。
しかし、大きなじゃがいもを使用したり、必要な量が少ないときには、切り分けた後に余ってしまうことがあるでしょう。
ここでは、そんな時に役立つじゃがいもの保存法についてご紹介します。
室温での保存
じゃがいもをカットすることで劣化スピードが加速し、色が変わります。また、カット面からカビが生じやすくなり、腐敗が広がりやすくなります。ですから室温で長時間保存するのは避けた方が良いでしょう。万が一、じゃがいもをカットしてしまったら、速やかに消費するか、後述する保管方法を試してみることを推奨します。
冷蔵方法
皮を剥いたじゃがいもを冷蔵庫で保存する際には、いくつかの手順を踏みます。最初に大きめのボウルを用意し、その中に水を満たしてじゃがいもを約5分間、水に浸けておくことが重要です。次に、じゃがいもから余分な水を切り、専用の容器へうつしてください。
その後、じゃがいもが完全に覆われる量の水を容器に加えてください。きちんと蓋を閉めた後、これを冷蔵庫に入れて保存します。ただし、保存できる期間は2日から3日が目安ですので、その期間内に使いきることが望ましいです。
冷凍保存のコツ
余ったじゃがいもは冷凍して保管することができますが、事前に加熱することを推奨します。茹でる、もしくは電子レンジを活用してじゃがいもを加熱し、温度が下がったら余分な水分をきちんと取り除いてください。その後は、密閉できるタッパーもしくはフリーザーバッグに入れて、冷凍庫で保存します。じゃがいもをそのまま凍らせる場合も、マッシュしてから冷凍する場合もあります。こうすると、切った状態のものと比較して最長で1ヶ月保存することが可能です。
長期保存に向いていないじゃがいもの特徴
これまでにじゃがいもの保管方法についてご説明してきましたが、購入時点ですでに痛みが見られるじゃがいもがあることも事実です。そのようなじゃがいもは、長期にわたって保存するのに適していません。新鮮なじゃがいもを選ぶことが長期保存への鍵となるため、ここでは保存に不向きなじゃがいもの見分け方についてお話しします。
発芽したじゃがいもの注意点
じゃがいもの発芽は、収穫後の経過時間を示し、新鮮さに欠ける兆しです。苗芽に含まれる有毒成分が知られていますが、一度発芽してしまうと摘み取っても短期間で再び芽を出してしまうため、使用上不便を感じることがあります。芽が出たとは言え、じゃがいも全体に有害物質が拡散するわけではないものの、長期保管には不向きだとされています。
損傷のある食品の取り扱い
食品に損傷が見られる場合、その箇所からカビが発生しやすくなったり、劣化が進むことがあります。損傷によっては常温保存の期間が大幅に短縮されるため、保存には適しません。けれども、加熱後に冷凍保存する場合には、損傷はそこまで心配する必要がありません。傷んだ部分を取り除き、残った部分を調理することで、食用にも保存にも適するようになります。
じゃがいもの色変わりに注意
緑色へと変化したじゃがいもを目にしたことがありませんか?外見上は通常のじゃがいもと変わらないように思えますが、実際は慎重に扱うべきです。この緑色は単純な未成熟のサインというわけではなく、実はじゃがいもの芽に含まれているソラニンという毒素が原因です。皮を剥いた後でも健康へのリスクがあり、食中毒の可能性も否定できませんので、食べることは避けるべきです。どうしても利用したい場合は、皮を余分に剥くか、変色している部分を広く取り除いてください。
じゃがいもの柔らかさについて
じゃがいもが触ってみて柔らかかったり弾力がない場合、それは劣化のサインかもしれません。ただし、わずかに柔らかさを感じる程度なら問題ではないこともあります。しかし、はっきりとした柔らかさや、触るとへこむようなぶよぶよとした状態ならば、食材としての鮮度が落ちていると判断すべきです。このようなじゃがいもは、保存を考慮する前に、食用にするのを控えた方が賢明です。
カビが発生した場合の取り扱い
カビが目に見えて生じている場合は、長期間の保存は不適です。しかし、カビが皮の表面に限定されているならば、まだ食用に適している可能性があります。初めに、カビを十分に洗い流し、じゃがいもの状態を慎重に検査しましょう。皮を剥いた後にも腐敗が見られなければ、安心して食べることができます。さらに、事前に加熱処理を施した後ならば、冷凍での保存も選択肢となり得ます。
じゃがいもの長期保存法
じゃがいもの保存期間を延ばすには、いくつかの工夫が必要です。これらを取り入れることで、じゃがいもをより長く保存することが可能になります。
陽光を避けた保存方法
じゃがいもは強い日光にさらされると、新芽が伸びやすくなり色も変わりがちです。したがって、直射日光が届かない環境で保管することが大切です。例えば、家庭のキッチンの場合、床下のストレージや流しの下が適切な保管場所となります。ただし、じゃがいもには湿度も敵であり、過度な湿気は腐敗やカビの原因となります。したがって、流し下など湿気が溜まりやすいスペースで保管する場面では、扉を定期的に開けて空気を循環させることを心掛けると良いでしょう。さらに、湿気吸収剤を一緒に置くことも、環境を改善する効果的な方法です。
りんごによる保存術
りんごから放出されるエチレンガスには、じゃがいもの芽生えを抑える効果があります。わざわざこの方法を選ぶのが煩わしいと感じるかもしれませんが、りんごを頻繁に消費されるならば、この方法が適しているでしょう。
じゃがいも保存時の土の扱い方
じゃがいもを保存する際は温度帯に関わらず、まず土をきれいに落としてからにしましょう。土が付いた状態で保管すると湿度が上昇し、腐敗を促進させる可能性があります。しかし、保存期間を延ばしたい場合は水での洗浄は避けてください。湿ったじゃがいもをすべて乾燥させるのは困難で、カビが生じる原因となるためです。
新鮮なじゃがいもの選択と長期保管について
じゃがいもは種類も収穫時期も異なるため、選び方には注意が必要です。特に長期にわたって保存したい場合、新鮮さは非常に重要です。鮮度の高いじゃがいもを見極めることで、保存期間を延ばすことが可能になるのです。
美しい形状の選定
始めに、外観が美しいじゃがいもの選択を心掛けましょう。不揃いで凹凸が目立つ場合は、疾病が原因である可能性がございますので、選ばない方が賢明です。しかし、一風変わった形や凸凹があっても食用に差し支えないじゃがいもは存在します。すべてがそうだとは限りませんが、切ってみないことには判別がつかないものも少なくありませんので、できれば形が整っているものを選ぶことで誤選のリスクを減らせます。
無傷の状態を維持
既に触れた通り、製品の表面に傷が存在すると、その箇所を起点にしてカビが発生しやすくなり、品質が低下し始めることがあります。傷のない部分は問題なく使用できますが、長期にわたって保管する場合は適さない性質があると考えられます。
じゃがいもの鮮度を見極めるポイント
新しいじゃがいもの特徴としては、皮がぴんと張り、しわが見当たらないことが挙げられます。しかし、時間が経つと徐々に皮に柔らかさが生じ、しわが生じ始めます。触れた時に柔らかさが感じられる場合は使用期間が限られるため注意が必要です。食べるには支障がないことも多いですが、保存を長期間見込む場合は適さないと思った方が良いでしょう。
じゃがいもの保存法まとめ
じゃがいもの保管には複数のアプローチがありますが、基礎となるのは室温での保存であり、これが長期間にわたる保存に最適な手段であるとされています。
ただし、冷蔵や冷凍で保管する際には特有の留意点が存在しますので、以下の内容を参考にしてください。
便利なじゃがいもですが、選び方や保存方法によっては、早期に品質が落ちてしまうこともありますので、じゃがいもの特性をしっかりと把握し、ご自身に適した保管方法を見つけてください。