「書類にご捺印をお願いします。認印で問題ありません」とは、文書に押印する際に頻繁に耳にするフレーズです。
しかしながら、「シャチハタ不可」との指摘を受ける場面も見受けられますが、その背景にある理由は何でしょうか?
まず、認印とは具体的にどのようなものを指すのでしょうか、そしてなぜシャチハタが受け入れられないのでしょうか?
「いずれにしても、捺印してしまえば区別はつかないだろう」と推測している方もいるかもしれませんが、その後で「シャチハタを除く印をもって、再び押印してください」と要請されるケースがあります。
本文では、認印とは何か、シャチハタとの差異、それを見分ける手法、さらには三文判との違いについて解説いたします。
認印とは?実印や銀行印との違い
認印というのは、シャチハタを除く印鑑の中で、実印や銀行印以外のものを指します。場合により銀行印もこのカテゴリーから外れることがあるものの、一般には実印を除く印鑑をさします。この文脈で考えると、実印や銀行印というのはどのようなものなのでしょうか。
“認印をセットするだけで捺印が楽になる印鑑ホルダー”を紹介した所
『シャチハタでいいじゃん』というコメントで溢れ返りましたが
これはシャチハタ(浸透印)ではございません
認印(印章)です大人には浸透印では認めてもらえない書類に印する時もあるのです
とは言えませんでした、、、 pic.twitter.com/DCFdEdcHm2
— 永江印祥堂【公式】 (@nagaeinsyoudou) July 9, 2024
実印とは何か?
実印は、法務局に登録を行い、法的な効力を有する印鑑です。個性あるデザインが可能で、複雑なものほど偽造を防ぎやすいことから、様々なデザインが用いられます。
銀行印とは何か?
銀行印とは、銀行の各取引において本人確認として用いられる印鑑のことを言います。口座を開く際や取引を行う時に使用され、実印と同じく複雑で偽造にくいデザインが推奨されます。
個人の好きなデザインで問題ない場合も多いですが、実印や銀行印は大切な場面で使用されるため、目的に合わせた適切な印鑑を選ぶことが求められています。価格が低くても法的な問題はないのですが、偽造を防止するためにも手彫りの印鑑を選ぶことが好ましいとされています。
シャチハタはなぜ認印として不向きなのか?
多くの方がご経験されるかと思いますが、「認印を押してください」という際に、シャチハタを用いようとしても、「シャチハタは利用できません」という返答を受けることがしばしばです。これにはシャチハタ特有の性質といくつかの理由が関わっています。シャチハタについて、その特徴を含め見ていきましょう。
シャチハタとその一般的な概要
印章の種類には朱肉を用いるものとインクが内蔵されている浸透印があり、後者の代表例が「シャチハタ」として広く知られています。簡便で使い勝手が良いシャチハタですが、公式文書には適さない場合が多いことは周知の事実です。名称「シャチハタ」は特定の企業の商品名であり、一般用語として定着しているほか、「Xスタンパー」が正式な名前です。なお、シャチハタ類似品を多くのメーカーが生産しております。
シャチハタが認印に不適合な理由
認印は文書への同意や意志を表すために欠かせないアイテムですが、シャチハタには認印として不適切とされる特性があります。
- 印影がにじむことがあり、不鮮明になりうる
- 大量生産品で同一デザインが数多く存在するため、独自性が低い
- ゴム製であり、押す強さによって印影が変形しやすい
- 使用によるゴムの劣化が印影に影響を及ぼすリスクがある
これらの点から、シャチハタは銀行印や実印にも不向きであるとされています。
そういえば、物件契約の際に不動産屋さんに「認印持ってきて」言われたからシャチハタ持ってったら、契約書に割印とかバリバリ実印使われてて自分だけシャチハタなのめっちゃウケた
— 野菜マシ@40代からの投資🔰 (@amaumaxamaumax) December 13, 2023
朱肉を使う判子と素材について
通常の判子は木材、金属、石や動物由来の角など、耐久性に優れた材質で作成されており、印影が一定していることがメリットです。これがシャチハタとは異なる点です。
認印とシャチハタを見分ける方法
認印とシャチハタの差は、インクの色や質にその特徴があります。ゴムからインクを染み出させるシャチハタは、紙に浸透するタイプで、時間と共に色褪せや印影の変化が生じやすいです。反面、朱肉を塗る判子は紙上に乗る印影が長期に渡り鮮やかさを保ち続けます。実際に両者を用いて比較すると、明らかにこれらの違いが認識できます。
認印と三文判の細かな違い
さまざまな利用場面で混同されがちな認印と三文判ですが、ニュアンスには微妙な差異が存在します。いわゆる三文判は格安で購入できる判子のことで、名前の由来はかつて使われていた「二束三文」という言い回しからきています。この表現は、低価格で大量に入手可能なものを指し、それが安い判子を示す代名詞として定着しました。
広く市民権を得ている認印の中には三文判が含まれる場合もあり、そうした判子を正式に登録すれば実印や銀行印と同様に使えるようになることもあります。シャチハタなどの大量生産された判子も時に三文判と呼ばれますが、一般には安価で朱肉を使うタイプの判子がこのカテゴリに入ります。
認印と三文判を分けるポイントは、その利用の文脈や制作の方法にアンカーがあります。
- 認印は使い分ける目的に応じて、実印や銀行印と差異化されます。
- 三文判は、その作成過程が手彫りの印章とは違うという点で特徴づけられます。
丁寧な言葉選びの重要性
「三文判」という語句は、価値が低いと見なされがちなその特性ゆえ、人に対する表現として適切でない場合があります。したがって、実印ではなく認印で問題ないと伝えたい際は、「三文判でいいですよ」ではなく、「認印でいいですよ」という配慮のある表現を用いる方が望ましいです。
概観
本稿では、認印とその利用法について概説しています。具体的には、シャチハタ型の印鑑が認印として採用されにくい背景や、三文判との相違点に注目して説明しました。認印は実印や銀行印とは異なり、通常は非公式な書類に使われることが一般的です。しかし、シャチハタはその手軽さから人気がありますが、法的な文書に対しては適さず、インキが滲むことや印影が時間と共に変わってしまう問題も存在します。印鑑を選ぶ際や使用する際には、使用目的と状況を適切に把握することが大切です。