刺身の脇役である大根の細かい切り方は、食することに抵抗を感じる人もいるのでしょうか?総じて、刺身のそばにあしらわれる大根の千切りに関して、食するか否かは人それぞれの好みがあります。
大根千切りを楽しむという方は、その爽やかな風味を好意的に述べることが多いです。反対に、今まで食べたことがないとか、水気が多過ぎるから好まないと話す人もいます。
なお、高級料亭などで供される大根千切りは食べられるという人もいる一方で、市販されるパックの刺身に添えられた大根には魚の液体や脂、そして時には血が浸みこんでいるから望ましくないと語る声も耳にすることがあります。確かに見た目が悪化していると、敬遠されるのも無理のないことです。
筆者としては、個人的にこれらの付け合せを美味しくいただいており、切り身の隣に調和する大根千切りや薬味を当然のように楽しんでいます。
本稿では、刺身とともに添える大根千切りが食目的で供されるのか、あるいは他の意図を持って存在しているのか、そしてそれを食べることの作法について探究したため、その点をご説明いたします。
刺身と大根の千切りの意義
刺身にはよく大根の千切りが添えられていることがありますが、この大根千切りは装飾的な意図を持ちながら役立つ「あしらい」と呼ばれるものです。目にも鮮やかな役割を持つ「あしらい」には、具体的に「つま」「けん」「薬味」といったカテゴリがあり、これらはそれぞれ異なる機能と装飾美を備えています。大根千切りを単なる「つま」と考える人も少なくないですが、この文章では「けん」も含めて「つま」と表記します。刺身に添えられる「つま」は、見た目を飾る野菜や海藻類を指し、「けん」は栄養バランスや味のリフレッシュを意識して用いられる食材を言います。「薬味」は、その名の通りのスパイスの役割や季節感を出す要素です。これらは食べられることが前提であり、食事マナーを損ねるものではありません。
和食は基本的に食べられるものしかお皿の上に乗って来ないので、飾りの紅葉とか刺身のつまも全部食べる。という人がいる中、計算された味付けの一部になるもの以外の「美味しくはないけど一応食べられる素材置いてみた」的なのはできれば残したい。
— E子 (@escape_no_e_yo) July 29, 2024
「つま」の紹介
日本料理で使われる「つま」は、元々端材やフチの部分を意味していましたが、時間を経て現在の使用法へと変化しています。「敷きづま」と呼ばれる物は刺身の下に敷かれる葉物や、新芽の「芽づま」、立て掛ける装飾の「立てづま」などが含まれます。刺身の「つま」として一般的に使われる食材には、青じそやあさつき、ワカメ、パセリなどがあります。
「けん」の役割
「けん」とは尖った形状の野菜を指し、通常は「つま」として認識されがちです。刺身の下に敷かれることで、盛り付けに高さを出し、見た目に華やぎを加えるほか、大根のさっぱりとした味わいが刺身の味をリセットし、脂の多い魚の重みを和らげます。また、大根の香りや食感が刺身を引き立てるだけでなく、水分を吸収し鮮度を保つ役割も果たします。大根に含まれるイソチオシアネートには殺菌効果があり、刺身の鮮度を保つ上で一役買っています。消化酵素も含まれているため、食後の消化をサポートします。大根以外にも、けんとして使われる食材には人参やきゅうりがあります。
薬味の重要性
刺身に添えられる薬味は、魚に特有の臭みを消したり、色鮮やかな見栄えをもたらす大切な役割を果たしています。特にわさびや生姜といった風味豊かな食材がよく用いられます。
薬味は食べても良いのか?
刺身の薬味を口にするのはマナー違反ではありません。栄養学的にも利点があり、ビタミンやミネラルの摂取に寄与しますので、食べられるのであれば積極的に食べるのが望ましいでしょう。ただし、無理に食べる必要はありません。
薬味が担うその他の役割と効能
刺身に飾られる薬味には、美観だけではなく、食品の保存性を高める効果や消化の手助けといった実用的なメリットがあります。大根や青じそ、海藻などのさまざまな素材が用いられており、視覚だけでなく味にも工夫が凝らされています。外食時に薬味を残すことは無礼にあたらない一方で、余分な食品ロスを防ぐことにつながり、味わいの変化や口直しに役立ちます。たとえば、大葉で包んで食べる、小菊の花で口直しをするといった工夫も楽しめます。
余った薬味の再利用方法について
家庭で残った大根の千切りは、例として味噌汁の具材として再活用できます。魚の生臭さが気になる時は、水で洗い流すことで緩和できます。それでも気になる場合は、味噌汁にネギやみょうが、生姜などの臭みを消す野菜を追加してみてください。
刺身の飾り「つま」の歴史と明確な意味
刺身に添えられる「つま(あしらい)」は江戸時代中期にその歴史が始まり、「けん」「つま」「からみ」という3つの区分けがあります。再度説明しますと、「けん」とは野菜をきざんで刺身の裏側に盛り付けるもの、「つま」は刺身の隣や前に配される小さな野菜や海藻、大葉のこと、「からみ」はワサビやショウガのような辛味を加えるものを意味します。従来、刺身の「つま」として認識していた大根の細切りは実は「けん」だったのです。
🐟マグロGET‼️
お昼ご飯は2人で🐟マグロのお刺身
美味しくいただきました😋
実家の片付けの時に捨てるのが勿体なくて持って帰って来てた、つま?けん?大根を細く切るやつ…持って帰ってきてやっと使うことが出来た😆⤴️
🔪包丁も実家からのだから40年使ってるかも😅#エバズリーン湯浅 pic.twitter.com/7TUleH16AH
— KURI 9/1 【4号館W55】arteVarie (@KURI43825289) August 11, 2024
刺し身のつまの健康への影響と役割
刺し身に添えられる「つま」に使用される食材の健康効果についてご紹介いたします。
大根
アリルイソチオシアネートを含有し、その殺菌効果が認められています。消化を助ける酵素も豊富です。
大葉
ペリルアルデヒドを含み、独特の香りで料理の味わいを深めます。また、抗菌作用や防腐効果を持ち、切ることで香りが増します。
海藻類
食物繊維がたっぷりで、刺身には足りない栄養素を補給します。
ショウガ
ジンゲロールを含むことにより、強力な抗菌効果を持ち、魚の臭いを消し去ることができます。
ワサビ
アリルイソチオシアネートが豊富で、抗菌作用が非常に強く、食中毒の予防に役立ちます。
刺身と共に大根の細切り(つま)を味わうべきか否かについて
刺し身に添えられる大根の細切り、通称「つま」は実際に食するために盛り付けられており、美味しく頂くことができます。しかし、色の変わってしまった大根や、長時間おいてあるものに関しては遠慮されてもいいでしょう。新鮮な「つま」は栄養価が高く、効果的な側面もありますから、刺身との組み合わせを楽しんでみるのも一興です。美味しくお召し上がりください。