市販の日向夏の実から採取した種を使って、自宅で簡単に日向夏の栽培を始めることができます。屋内では年中、鉢植えで種を蒔くことができますし、屋外への植え付けに最適な時期は、春の気候が穏やかになり始める3月末から4月までとされています。
日向夏を種から立派に育てるための重要な秘訣をお伝えしますので、栽培にチャレンジしたい方は注目してください。本稿では特に、以下の項目を深掘りしています:
- 種から育てる日向夏についての留意点や育成のコツ
- 日向夏を襲う害虫や病気の詳細、そしてそれらの予防と治療法
- 日向夏栽培における有益な情報
- なぜ日向夏に実がつかないのか、またはなぜ落果してしまうのかの理由と対処法
これから日向夏の栽培を考えている方にとって、きっと役立つ情報が満載です。文章の最後までしっかりとお読みいただければ幸いです。
自宅で日向夏を育てよう!手軽に始める種まきのコツ
日向夏は手軽に種から育て始めることができます。スーパーで購入した日向夏の果実から種を取り出して、それを使用することで栽培を開始できます。種の植え付けは、室内であれば年間を通して植木鉢やプランターで可能です。ただし、屋外に移植する適切な時期は、春の3月終わりから4月が理想的です。既に育っている苗木を購入する場合にも、植え替えの最適な時期は3月下旬から4月と覚えておきましょう。
適切な育成環境について
ひゅうがなつは低温には弱点があり、マイナス4度を超える冷え込みがある地帯や、年間通じて16度を下回る気候では露地での育て方は適していません。これ以外の気候の場所であれば、ビニールハウスを使用したり、屋内で育てる方法が考えられますが、株が成長すると大きくなるため十分なスペースが必要です。冬季には枯れリスクもあるため、温暖なエリアでの栽培が推奨されます。
種からの育成と初期手入れ
種から木を育てる際には、次のステップを踏むのが良いでしょう。始めは植木鉢やプランターを使用し、木がある程度成長してから地植えに移行する方法が望ましいです。木が最少30センチメートル程度の高さに達するまでは、鉢植えやプランターでの管理が推奨されます。成長が未熟な小さな木は、強風で折れやすく、枯れるリスクも高まります。さらに、苗木を植えた後、実を収穫するまでには最低3年間の期間を見積もることが必要です。
苗木植栽後のケア方法
苗木を植える際には、光が十分に当たる場所を選びましょう。
鉢植えの場合、土が乾燥したら、水が鉢底から流れ出る程度にしっかりと水を与えましょう。土の湿り気を保つよりも、乾いた状態の方が望ましいです。
露地植えをする場合は、自然の雨水が当たる場所を選び、別途の水やりは必要ありません。適切な場所としては、屋根のない通りの良い環境です。
初めて肥料を施す際には、十分な量を与えてください。堆肥やオレンジ用の専門肥料が特に推奨されます。
その後は、春の初旬と夏の初旬に効果的な速効性の肥料を補給し、冬に入る12月ごろには寒肥として堆肥などを加えます。
また、日向夏は自己不和合性があるため、他の柑橘類の木が近くになければ果実がつかないことがあります。そこで、適切な受粉相手となる樹木を同じ環境に植えることが大切です。
「はるか」という新種が、日向夏とニューサマーオレンジとの交配によって開発され、非常に人気があります。どのような果実が得られるかは不確かですが、もし近隣に柑橘類の木があれば、自然の交配を試してみるのも一つの選択です。
もしまだ鉢かプランターで栽培している場合は、気温が0℃を下回る前に室内へ移動することを忘れないでください。
各年数における管理のポイント
初年度の管理方法
最初の年は、以前ご紹介した植付け後の手入れを行います。また、樹木の形を整えるために適宜剪定が必要です。苗木は主幹から30~40センチメートルの長さに剪定してください。
2年目の手入れ
地面から15センチメートルの高さにある枝を取り除いてください。主要となる3本の枝を維持して、先端部に何本か枝がある場合は、不要な芽を取り除き一本だけを残すようにしてください。
3年目の成長管理
3年目には初めて果実がつき始めることがあります。花が開いたら、手作業での授粉を行うか、自然に任せることで果実が生じます。日向夏の木は、実った枝には翌年果実が生らない傾向があります。そのため、翌年も収穫を続けるためには、7月頃に実を摘み取ることが望ましいです。果実を残す枝とそうでない枝を選び、果実を残さない枝の全ての果実を摘果してください。日向夏の果実は冬を越して翌年の5月頃に最もおいしい時期を迎えるため、収穫時期は翌年となります。剪定面では、2年目に選んだ3本の主枝から伸びる枝のうち、2本を次世代の主枝に育てそれ以外は切り取りましょう。この作業により、4年目には整った開放自然形態が形成されます。
日向夏の害虫と病気の原因と対策とは?
日向夏における害虫とその対策
日向夏に常につきまとう問題として、いくつかの害虫が挙げられます。主な害虫を挙げ、その特徴と対策について解説します。
ハダニ
この微小な害虫は、葉の生命線である葉緑素を破壊し、その結果として葉は肌色を帯びることになります。ハダニの存在を確認する方法としては、葉を白紙に押し付けてみるという方法が有効です。ハダニが紙に潰されるとオレンジ色の痕を残すため、迅速に判別できます。繁殖力が非常に強いため、早期に殺虫剤での駆除が求められます。
カイガラムシ
カイガラムシは日向夏の樹涜を吸って、枯死に至らしめる悪質な害虫です。複数が集まって木の枝や葉に附着することがよくあり、ブラシを用いて擦り落としたり、特別に用意された殺虫剤を使用して対抗することが大切です。
アブラムシ
新しい芽が出る季節になると、こんもりとしたアブラムシの姿が葉の裏面に目立つようになります。これらの害虫は殺虫剤を使うか、強力な水流で吹き飛ばしたり、単純に手で潰すことでも除去可能です。
アゲハチョウの幼虫
アゲハチョウの幼虫は葉を食べ尽くす存在で、大きな体をしているため発見しやすい特徴があります。見つけた際には速やかに取り除くことが重要です。また、幼虫が生まれる前に、葉の裏に産み付けられる卵の存在も確認しておくべきです。
日向夏の葉っぱに小さなアゲハを発見。最近、アオスジアゲハが飛んでいたけど、ナミアゲハか?今後、大きくなったら識別できるはず。で、「害虫」として即座に捕殺するかどうか。憎き?コガネムシやアブラムシなら即捕殺ですが、アゲハは成長を見守ります。人間は勝手ですね。#家庭菜園 #家庭果樹 pic.twitter.com/yZfQ651jLI
— 静岡家庭菜園365日ときどき福祉防災 (@psQPL5bCvfiGmFc) May 11, 2021
日向夏における疾病の種類と対策
日向夏に影響を与える典型的な疾病は複数存在しますが、特に以下の二つが顕著です。
- かいよう病
- そうか病
以下、これら疾病に関する具体的な説明を展開します。
かいよう病について
農園でよく見受けられるかいよう病は、春の季節を迎えると発生しやすく、特に雨の影響を強く受けると広がる傾向があります。感染の兆しとしては、果実に褐色の斑点が生じ、亀裂が入る場合が多いです。このような亀裂から病原菌が侵入するため、直接強い風が当たることを防ぎながら栽培することが予防策として有効です。疾病が発見された際には、速やかに病んだ部分を剪定し取り除くことも重要です。
そうか病とその対応
そうか病も柑橘類における主な疾病の一つです。果実や枝葉にイボ状の突起が現れたり、皮がひび割れたりするのが特徴です。この病気を予防するためには、かいよう病と同様に損傷を防止することが大切です。また、そうか病は硝素を多く含んだ土壌での発生が促されるため、施肥する際に土壌に含まれる窒素量が過多でないかを検討することが推奨されます。発見時には病気が広がらないように、感染した部位は早期に除去しましょう。
日向夏の基本情報と特長
日向夏とは、鮮やかな黄色をした柑橘類で、サイズはブンタンより一回り小さく、しかしながら温州ミカンよりはひとまわり大きい果物です。この柑橘はそのふんわりとした白い部分まで美味しく食べられるのが特徴です。次に、日向夏に関するさまざまな知識や特色について詳しくお伝えします。
柑橘類の起源
この柑橘類は、宮崎県で見つかり、その歴史は200年以上前に遡ることができます。地元の民家でたまたま見つけ出された由緒ある果物であり、昔の宮崎の別名であった「日向国」が名前の由来となっています。その呼称は、地域によってさまざまで、静岡や愛知では「ニューサマーオレンジ」と称され、高知では「小夏みかん」とも呼ばれることがあります。
美味しい食べ方のコツ
最高の味わいを楽しむためには、やはり生でそのまま食べるのが一番です。皮の剥き方は、リンゴの皮を剥くときと同様にナイフを使いましょう。そして、皮のすぐ下の白い部分を少し残すことが、美味しく味わう秘訣です。
種が集中している中央部分を避け、種を取り除きやすくするために、中心から少しずらして切り分けると良いでしょう。宮崎県の伝統的な方法としては、砂糖を振りかけて食べるのが人気です。これにより、より一層の甘さを引き出し、格別の美味しさを体験できます。
食べ終わった後の皮も捨ててしまうのはもったいない!その皮を使ってジャムを作ると、オレンジのジャムよりも苦味がなく、さわやかな甘さが特徴のジャムができあがります。種を除けば、無駄なく全てを美味しく頂けるので、ぜひトライしてみてください。
朝から大量の日向夏をジャムにしたよ……(´o`)フゥ
すんごい茶色になっちゃった。
引っ越してから野菜や果物を大量に貰うことが増えて嬉しいやら大変やら。 pic.twitter.com/L3e1Gjkprz— 黒ごま (@arcturus_08) May 25, 2023
日向夏の実が生らない、または自然に落下する理由とその対処法
日向夏を健康的に育てるためには、実が生らない様々な要因を理解し、適切な対応を行う必要があります。主な原因を解説し、どのように対策すれば良いのかをお伝えします。
前年に全ての枝に実をつけない
実際には、前年に結実した枝は次の年に実をつけることは稀です。理想的な成果を得るためには、摘果作業を適切に行うことが大切です。
受粉が行われない
花粉を供給する他の樹木が近隣になければ、実をつけることは難しいです。受粉相手となる樹木を植えるなどの対策を検討しましょう。
剪定の方法を見直す
樹木が元気すぎると、枝葉の成長に栄養が奪われ、結実への影響が出るこれがあります。剪定を通じて適切な栄養配分がなされるように調整しましょう。
また、日向夏の実が自然に落ちる現象に関しては、ある程度の成熟を迎えると地面に落下するのは自然なことです。落ちる前に収穫してお楽しみください。